King Gnuの新井和輝を知る入口は、ジャズやセッションで培ってきた背景と、曲ごとに表情を変えるベースラインです。このページでは、その歩みと使用時期の分かる機材資料をたどり、「白日」「Teenager Forever」「Vinyl」「飛行艇」の販売TABから、弦移動・休符・音のつなぎ方を具体的に見ていきます。
ベーシスト新井和輝のプロフィール|生い立ちと経歴
新井和輝は東京都福生市出身。J-WAVEの2023年12月16日放送アーカイブでは、14歳の頃に友人からバンドへ誘われ、ベースを始めた経緯が紹介されています。母親の影響でヒップホップやR&Bに親しみ、高校では軽音部の先輩に連れられたジャズのライブが転機になりました。Fender公式プロフィールでも、日野“JINO”賢二と河上修への師事が記されています。
学生時代には、国立音楽大学を中心とするビッグバンドNEWTIDE JAZZ ORCHESTRAでも活動しました。共演者・吉田純也の2014年の紹介に、当時の所属とコンテストでの経歴が残っています。主催者・山野楽器の2012年大会記録では、同バンドが第1位・最優秀賞を受賞しています。これは新井個人のソリスト賞という意味ではなく、バンドとしての受賞です。
Fenderのプロフィールによると、大学時代に出会った勢喜遊を通じ、常田大希や井口理と前身バンドSrv. Vinciでの活動を開始。2017年4月にKing Gnuが始動し、2019年にはメジャーデビューを迎えました。同年の「白日」は、坂口健太郎主演『イノセンス 冤罪弁護士』の主題歌です。日本テレビの主演紹介、同局の楽曲紹介から確認できます。
Fenderとのエンドースメント契約は2021年10月29日の公式発表で確認できます。シグネチャーベースは2021年に限定生産され、2023年8月22日にはレギュラー製品となる新モデルが発売されました。メーカー発表に沿って、限定版と後発モデルを分けて捉えると、楽器の特徴も追いやすくなります。
新井和輝のベースプレイ分析|プレイスタイルとベースラインの特徴
音楽の背景を知ったうえで、実際のフレーズも比べてみましょう。ここでの分析は、販売TABの記譜をもとにした読み解きです。本人の録音時の運指や使用楽器を譜面だけから決めることはできないため、取材で確認できる話と、練習方法の提案を分けて紹介します。
ジャズの背景と、コードが動くフレーズ
ジャズやR&Bとのつながりは、本人のキャリア・インタビューでも語られています。一方、譜面を練習するときは、「ジャズらしい」という印象から一歩進め、コードの移り変わりと音の形を確認したいところです。たとえば後掲の「Vinyl」5〜6小節では、Fm7→B♭m7→E♭→A♭とコードネームが進み、その中に2箇所のハンマリングがあります。コードの境目を見ながら音をつなぐ箇所を追うと、指の動きだけを暗記する場合とは違う手がかりを得られます。
5弦ベースを活かしたレンジの広さと表現力
5弦ベースの低いB弦が役立つ場面は、後掲の「飛行艇」の版比較で確かめられます。サビ直前の16小節目では、5弦版の低いBとC♯を、4弦版では1オクターブ上に置き換えています。同じ曲でも、使える音域によってフレーズの位置が変わる具体例です。
「Teenager Forever」の譜例では、低音から1オクターブ上への大きな移動に注目します。低い音を出せるかどうかに加えて、休符や打音の間に次の位置へ移れるかも練習の課題になります。曲ごとの違いを見ながら、手持ちの楽器に合うTABを選んでください。
新井和輝のベースが光る代表曲・名演紹介【TAB譜付きフレーズ】
King Gnuの楽曲はどれもベースが重要な役割を担っていますが、その中でも「新井節」が特に際立つ曲を、TAB譜と一緒にピックアップしました。
譜例画像はすべて実際のベース譜面の一部なので、気になった方はそのまま下のボタンからフルサイズのTAB譜をチェックしてみてください。
白日
この販売TABでは、冒頭の17小節はベースが全休符で、1Bの18小節目から動き始めます。音を出さない区間と、細かなフレーズで入る区間の違いを、譜面から確かめられます。以下は1B冒頭の18〜19小節。

18小節目の出だしは、4弦6フレットの16分音符2つから、3弦3フレットの8分音符へ進みます。最初の2音を長く弾きすぎると、次の弦へ移るタイミングが遅れます。練習ではまず、この3音だけを取り出し、同じ弦を2回弾いてから隣の弦へ移る動作を整理する提案です。最初の2音は軽くそろえ、次の3弦3フレットにはスタッカートの点があることも意識して、音を止めるところまでを1組にしてみましょう。
両小節の終わりは、付点8分休符のあとに16分音符の×が来ます。×は音の高さをはっきり出さず、打音を出すゴーストノートの表記です。休符は弾かずに音を止める場所なので、両者を同じ「休み」として読まないことがポイントになります。練習案として、休符では左手を弦に触れさせて振動を止め、最後の×だけで弦を弾いてみてください。×まで休むと末尾の打音が抜け、休符の間も打音を足すと空白がなくなるため、鳴らす音・短く切る音・完全に休む区間・打音を分けて確かめます。
全曲の販売TABでは、この1Bだけでなく、サビ、動きの増える間奏、後半の転調も同じ譜面で追えます。まず2小節で弦移動と音の切り方を確かめ、曲全体を練習したい方は、全曲PDFの収録内容を販売ページで確認してください。
Teenager Forever
「Teenager Forever」のイントロは、低い音から1オクターブ上へ跳び、その間に×の打音が入るフレーズです。下のF→Gmの2小節では、形を保ちながら2フレット上へ移ります。低音と高音の音域差、打音、8分音符のハネを組み合わせることが、このリフを練習する楽しみになります。

Fの小節は、1拍目に4弦1フレット、2拍目に×、3拍目から3弦8フレットへ進みます。標準チューニングでは、4弦1フレットと3弦8フレットは1オクターブ違うファです。同じポジションに左手を固定する形ではないので、まず低音→×→高音の順番だけを確認し、×の間に左手を高い位置へ移す練習を提案します。×は休符ではなく、音の高さをはっきり出さない打音です。指を弦から完全に離して開放弦を鳴らさないよう、軽く弦に触れて消音しながら移ることも確かめてください。
次のGmでは、4弦3フレット→3弦10フレットへ移ります。低い方が1→3フレット、高い方が8→10フレットと、両方が2フレットずつ上がるので、二つの形を組にして覚えられます。初めから細かな動きを全部つなげず、低音と高音に着地する位置を先にそろえると、大きく移動したあとの音を探す時間を減らせます。
位置が決まったら、3拍目の二つの8分音符を加えます。譜面冒頭の「Swing」の指定は、二つの8分音符を3連符の1つ目と3つ目の位置で弾く形を示しています。均等な間隔にする場合と、最初を長く・次を短くする場合を弾き比べ、譜面の指定に沿ってハネを確かめる練習です。イントロ末尾には10・12フレットのハンマリング(h)の表記もあります。この2小節で低音と高音の移動をつかんだら、その先の高音フィルへ練習を広げられます。
掲載した譜例は5弦ベース用の販売TABです。イントロからその先のフィル、サビまで曲全体を練習したい方は、全曲PDFの内容をご確認ください。
4弦ベースで練習したい方には、4弦で演奏可能なフレーズにアレンジした販売版もあります。手持ちの楽器に合う版を選んでください。ここに載せた2小節は5弦版からの譜例なので、4弦版と全曲の運指が同一とは限りません。
Vinyl|16分音符のハネと、2箇所のハンマリング
「Vinyl」の販売TAB譜では、冒頭に16分音符2つを長短に弾くSwingの指定があります。「Teenager Forever」の8分音符のSwingとは、ハネを付ける音符の細かさが違います。まずは譜面に記された四分音符のテンポを保ち、その内側の16分音符を均等に並べないことが練習の出発点です。

譜例の前半、5小節目には2弦6→8フレット、続いて3弦6→8フレットの2箇所に「h」があります。これはハンマリングの指定です。練習の一案として、6フレットを人差し指で押さえて弾き、8フレットを薬指で打ち付けて、右手で弾き直さずに次の音を出してみてください。まず各組だけを取り出して音量差を確かめ、その後で前後の音をつなぐと、弦を移るときだけ8フレットの音が弱くなる箇所を見つけやすくなります。
音をつなぐ箇所と同じくらい、切る位置も大切です。5小節目の最初の「8」の後には16分休符があり、6小節目では続く2つの「4」のうち最初の音にスタッカートの点が付いています。ハンマリングに気を取られて音を伸ばし続けると、この区別が消えてしまいます。ハンマリング2箇所を確認したら、今度は休符で発音を止めること、点のある音を短くすることに注意を移し、2小節を弾き比べてみてください。これは譜面をもとにした練習案で、録音での新井本人の運指を示すものではありません。
全曲を練習するなら、同じイントロでも次の反復でフレーズが変わる箇所や、短い2/4拍子の小節にも目を向けたいところです。販売版は五線譜と5弦TAB、コードネームを併記したPDFです。ここで取り上げた「h」や休符の読み分けを、サビや間奏を含む曲全体の練習へつなげられます。
手持ちの4弦ベースで練習したい方には、4弦で演奏可能なフレーズにアレンジした別版もあります。上の譜例は5弦版からの抜粋なので、4弦版と全曲の運指が同じとは限りません。購入時には、使用する楽器に合う版を選んでください。
飛行艇|音作りの資料と、4弦・5弦TABの選び方
「飛行艇」の音作りを考える入口として、使用時期が明らかな機材資料を見てみましょう。ベース・マガジンの2024年の取材では、5大ドームツアーのアンコールで「飛行艇」を弾いたベースは、FenderのDeluxe Jazz Bass V Kazuki Arai Editionと紹介されています。同記事では、シンセベースに近い音を作る際にOC-2とOC-5を使い分けることも説明されています。
これは2024年のライブ機材の記録です。「飛行艇」の録音で使われたペダルや設定値まで特定する資料ではありません。練習では、まず原音で音の長短と弦移動を確かめ、その後に必要な音色を足していく方法を提案します。新井和輝の使用機材を取材した記事(ベース・マガジン、2024年12月16日)
4弦版と5弦版の違いは、低い音をどう置き換えるかに表れます。サビ直前の16小節目では、5弦版が「5弦0フレット→3弦2フレット→5弦2フレット」と進むのに対し、4弦版は「3弦2フレット→3弦2フレット→3弦4フレット」。どちらも4拍目は休符です。4弦版では1拍目のB音と3拍目のC♯音が1オクターブ高くなり、手持ちの4弦で弾ける位置に置き換えられています。5弦版の低い音域を保ちたいか、4弦のアレンジで演奏したいかが、選ぶ際の具体的な分かれ目です。


一方、17〜18小節目のサビのTABは両版で共通です。4弦版に変えても、この部分の弦移動やハンマリングが省略されるわけではありません。弦数だけで「簡単な方」と判断せず、サビのフレーズも見て選んでください。

5弦用の販売TABでは、1サビの最初の小節(17小節目)で、3弦9フレットの8分音符を5回弾いたあと、2弦7フレット、3弦9フレット、2弦7フレットと動きます。同じフレットの連打が続く間も、すべてに短く切る記号が付いているわけではありません。スタッカートの付いた音と、次の音までつなぐ音を見分けると、弦を移る前から一律に音を短くしてしまうミスを避けやすくなります。
練習案として、まず後半の「2弦7フレット→3弦9フレット→2弦7フレット」だけを8分音符で弾き、移ったあとに直前の弦が鳴り続けていないか確認してください。そのあと同じ小節の前半を戻し、移動の直前だけ速くならないかを確かめます。続く18小節目にはハンマリングの記号もあり、右手で弾き直す音と左手でつなぐ音を分けて読む練習へ進められます。
販売されているのは、5弦ベース用の通常版と、4弦ベースで演奏できるフレーズにしたアレンジ版です。弦数の違いだけで簡単版と判断せず、手持ちの楽器と弾きたい内容に合わせて選んでください。どちらも販売表示は中級・PDF全5ページ(楽譜4ページ+案内1ページ)・360円(税込、2026年11月2日確認)です。それぞれ1曲全体のPDFで、2つの版をまとめたセット商品ではありません。
新井和輝の使用ベース・機材一覧|音作りとセッティング
機材は、いつ・どの現場で確認されたものかを添えて見ると役立ちます。ここでは2020年の機材紹介、2021〜2023年のFender発表、2024年のドームツアー取材を参照します。製品自体の機能と、新井が実際に使った機種・用途を分けて整理しました。販売リンクには後発モデルや別モデルの参考品も含むため、各項目の注記もご確認ください。
ベース本体|5弦ジャズベースを軸にしたメイン楽器
2020年のBASSIST FILEでメインとされているのは、Fender American Deluxe Jazz Bass Vです。アッシュボディ、メイプルネック、ローズウッド指板の個体が紹介されています。
シグネチャーモデルは、このAmerican Deluxeの形へのこだわりを引き継いだものです。2021年の本人インタビューでは、2020年のMade In Japanモデル監修を経て、American Ultra系の回路を採用した経緯が説明されています。2023年の製品はBlackとVintage Blondeの2色で、独自のネック形状やUltra Noiseless Vintage Jazz Bassピックアップを採用しています。2023年の製品発表、公式の仕様を参照してください。
2024年の機材取材では、ドームツアーのメイン器は2021年限定のシグネチャーモデルと紹介されています。4弦では1966年製Jazz BassやCustom Shopの1966仕様も掲載されており、5弦だけに固定した機材紹介では捉えきれない使い分けがあります。
アンプ・キャビネット|2020年に確認できるAguilarの構成
2020年2月号掲載時の機材記録には、アンプヘッドAguilar DB751とキャビネットDB410×2が掲載されています。ヘッドは音を増幅する部分、キャビネットはスピーカーを収めた部分です。この資料で確認できる組み合わせとして紹介します。
自分の環境で音作りを試すなら、いきなり機材の数をそろえるより、ベースからアンプまでの音量差や歪みの量を一つずつ確かめる練習を提案します。同じフレーズで設定を変えると、低音を増やした影響なのか、歪みを加えた影響なのかを聞き分けやすくなります。
エフェクター・プリアンプ|現代的ベースボードの中枢
以下では、過去の機材記録にある製品と、その機能を紹介します。2020年資料の全機種が2024年にも同じ構成で使われているわけではありません。なお、商品カードはもしもアフィリエイト経由の楽天市場リンクです。デモ動画や製品仕様は音色を知る参考にし、本人の使用時期は本文の取材情報をご覧ください。
Xotic Bass BB Preamp(ベースBBプリアンプ)
2020年の機材記録にあるプリアンプです。Xoticの説明書では、GainとVolume、低域・高域のEQを備え、クリーンなブーストから歪みまで調整できます。練習ではGainを変えたときにVolumeもそろえて比較すると、単なる音量差に引っ張られず音色を確かめやすくなります。掲載カードはVer.1.5で、取材当時の実機と同じ世代かは特定していません。
Tech21 SansAmp Bass Driver DI
2020年資料に掲載され、2024年のドームツアー取材では主な歪み用として紹介されている機種です。メーカーの機能説明では、Blendで原音とSansAmp回路の音の割合を調整し、DI出力からPAや録音機器へ送れます。カードはV2の販売品です。本人の取材個体と同じ世代だと決めずに仕様を比較してください。
Subdecay Proteus MkII(エンベロープフィルター)
入力に反応して音色が動くエンベロープフィルターで、公式マニュアルにはタップテンポのサンプル&ホールド機能も記されています。2024年取材のボードには入力ゲインを増設した改造個体が2台あり、販売される標準品との違いに注意したい部分です。「Vinyl」の録音でこのペダルを使用したかは、今回の資料では確認していません。
MXR Vintage Bass Octaveと、別モデルの参考動画
2020年の使用資料はVintage Bass Octaveと記しています。メーカーの型番はM280です。下のカードは、別モデルのM288 Bass Octave Deluxe。M288の説明書と見比べ、本人使用モデルのM280と区別してご覧ください。
BOSS OC-2・OC-5(オクターバー)
2024年のボードにはOC-2とOC-5があり、シンセベースのような音を作る際に使い分けると紹介されています。OC-5の公式説明では、原音に1・2オクターブ下や1オクターブ上の音を混ぜられます。掲載カードはOC-5です。まず単音フレーズで原音と効果音の割合を変えてみると、音を重ねる効果を確かめられます。
Boss SYB-5 Bass Synthesizer
2020年の機材資料に掲載されたベース用シンセサイザーペダルです。BOSSの公式仕様では、入力波形を加工するモードを含む11種類のシンセサウンドを搭載しています。メーカーは販売完了と案内しています。特定の曲の録音に使われたと断定せず、音作りの参考として紹介します。
KORG Pitchblack(チューナー)
2020年の資料は「Pitchblack」という製品名で、チューナーとして掲載しています。販売カードはPitchblack XSという別世代の参考品です。取材個体と同じ製品とせず、仕様を比べてご覧ください。チューナーは正しい音程を確かめる道具で、歪みやオクターブを加えるペダルとは役割が異なります。
弦とEQ|取材で確認できる設定から試す
2024年の取材では、シグネチャーベースの弦はFender製の.045〜.125、本体の3バンドEQはほぼフラットと紹介されています。これは取材時の設定の一例です。まず自分の機材でEQの基準位置を確認し、同じフレーズを弾きながら一つずつ動かすと、調整の効果を追いやすくなります。
新井和輝の魅力まとめ|ベースをコピーするときのポイント
この記事の4曲では、同じ「King Gnuのベース」でも異なる課題を練習できます。「白日」は細かい入りと休符・×の区別、「Teenager Forever」は低音と高音の移動、「Vinyl」はハネとハンマリング、「飛行艇」は低いBの版比較とサビの弦移動。気になる箇所を一つ選び、譜例に示された音を短い区間で確かめてみてください。
機材はその響きを考える手がかりになり、TABは実際に弾く音と位置を追う助けになります。練習区間を広げたくなったら、各曲の販売ページで全曲PDFの収録内容と対象の弦数をご確認ください。5弦版・4弦アレンジを用意している曲は、手持ちの楽器に合う版へ案内しています。

