プロが聴く楢﨑誠 / Official髭男dismのベースプレイ|サウンドの秘密(使用機材)と神フレーズ集

Official髭男dismのグルーヴを足元から支えるベーシストが楢﨑誠。ポップでキャッチーな楽曲の中で、ベースとサックスを自在に操りながら、リズム隊の要としてバンドサウンドをまとめ上げる職人タイプのプレイヤーです。このページでは、楢﨑誠の生い立ちからプレイスタイル、代表曲、使用機材、コピーのコツまでベーシスト目線で解説します。

ベーシスト楢﨑誠のプロフィール|生い立ちと経歴

楢﨑誠(ならざき まこと)は1989年3月18日、広島県福山市生まれのベーシスト/サクソフォーン奏者です。高校時代にTHE BLUE HEARTSや銀杏BOYZなどのバンドサウンドに衝撃を受け、ロックバンドへの憧れを強くしていきます。一方で吹奏楽部にも所属し、サクソフォーン奏者としての経験も積んだことで、のちのOfficial髭男dismのアンサンブルにも通じる「ポップスとアンサンブル・センス」が育まれました。

広島県立神辺旭高等学校卒業後、島根大学へ進学。大学在学中も吹奏楽やバンド活動に打ち込み、その中で同級生だった藤原聡らと音楽的な意気投合を重ねていきます。2012年6月、藤原聡、小笹大輔、松浦匡希とともにOfficial髭男dismを結成。インディーズ期からライブハウスや配信を中心に活動し、2015年のアルバム『ラブとピースは君の中』はタワレコの推薦盤にも選出されました。

2018年にはシングル「ノーダウト」でメジャーデビューを果たし、2019年以降「Pretender」「宿命」「I LOVE…」などの大ヒットで一躍国民的バンドへ。その中で楢﨑は、エレキベースとサックス、さらにはコーラスも担当し、バンドの厚みあるアンサンブルの要を担っています。

大学時代には音楽教員免許も取得しており、卒業後は一時「島根県警察音楽隊」でサックス奏者としても活動。プレイヤーとしての幅広いバックグラウンドは、Official髭男dismの多彩なサウンドの礎になっています。2019年4月からはFM FUJI『ロヂウラベース』でパーソナリティを務め、2020年には元E-girlsの山本紗也加との結婚を発表。2022年には舞台『Flying Trip』への出演で俳優業にも挑戦するなど、その活動は多方面に広がっています。

楢﨑誠のベースプレイ分析|プレイスタイルとベースラインの特徴

Official髭男dismの楽曲は、ポップスとソウル/R&B、バンドサウンドが絶妙に混ざり合ったアレンジが特徴です。その中で楢﨑誠のベースは、派手に目立つというより「グルーヴと歌心で曲全体を気持ちよく聴かせる」スタイル。土台のどっしりしたローエンドと、サビや転調部分でのメロディアスな動きがバンドの説得力を支えています。

ポップス×R&B感のあるグルーヴ作り

楢﨑のベースは、いわゆる「J-POPの4つ打ちベース」とは一線を画し、ソウル/R&Bのグルーヴ感を取り入れたラインが多いのが特徴です。16分音符の細かいノリや、裏拍を意識したフレーズがさりげなく差し込まれており、シンプルなコード進行の中でも「踊れる」リズムを生み出しています。

特に、キックとバスドラの関係性をかなりシビアに詰めており、バンド全体のリズムの「前ノリ/後ノリ」のニュアンスをベースでコントロールしている印象です。コピーする時は、TAB譜の音だけでなく、原曲のグルーヴにどれだけ近づけるかが大事なポイントになります。

歌メロを邪魔しないメロディアスなライン

もう一つの特徴は、歌メロを邪魔しない範囲で動き回る「メロディアスなサポートライン」です。Official髭男dismの楽曲はボーカルメロディの情報量が多く、高音域のピアノやギターもよく動きますが、その中でベースは中低域にスペースを確保しつつ、サビ前や間奏など「ここぞ」という場面だけ凝ったフレーズを入れています。

例えば、コードチェンジ直前に半音進行でつなげたり、スライドやオクターブ飛びで高揚感を演出したりと、「派手すぎないけれど耳に残る」アクセントが魅力。理論的なコードトーンの使い方と、ポップスとしての聴きやすさのバランスが非常に上手いプレイヤーです。

楢﨑誠のベースが光る代表曲・名演紹介

ここではOfficial髭男dismの中から、楢﨑誠のベースが特に印象的な楽曲をピックアップします。どれも公式YouTubeチャンネルで視聴できるので、記事内ではMVやライブ映像を埋め込みつつ、耳と目の両方でベースラインをチェックしてみてください。

「Pretender」

バンドを代表するバラードナンバー。「動きすぎない」のにしっかり歌っているベースの好例です。Aメロではシンプルなルート中心でボーカルの邪魔をせず、サビに向かうにつれて少しずつ音数と動きを増やしていきます。特にサビ終わりのフィルや、コードチェンジ前のさりげない半音アプローチなど、コピーしていて「なるほど」と思うポイントが多く、歌ものベースの教科書的な1曲です。

「宿命」

ブラスアレンジとともに、ソウル/ゴスペルの雰囲気を感じさせる楽曲。ここでは、バスドラとガッチリ組んだ「歌える8ビートベース」が大きな役割を果たしています。Aメロではリズムを抑え気味に、サビでストレートに前に出る構成で、楽曲全体のダイナミクスをコントロール。ライブ映像で観ると、身体の揺れ方とベースのノリがリンクしているのがよく分かり、グルーヴ感の参考になります。

「I LOVE…」

R&Bテイストの強いミディアムテンポ曲で、ベースラインもより黒っぽいニュアンスが強め。16分の細かいフレーズや、裏拍で跳ねるようなリズムが散りばめられており、シンプルに聴こえつつもコピーしてみるとかなり奥深い1曲です。特にBメロ〜サビにかけてのベースの動きは、歌のフレーズをやんわりなぞるようなラインになっていて、「歌心のあるベース」とは何かを教えてくれます。

楢﨑誠の使用ベース・機材一覧|音作りとセッティング

Official髭男dismの楽曲は、CD音源でもライブでも「低音が気持ちよく聴こえる」ことが大きな魅力です。その裏には、ヴィンテージFenderを中心としたベース本体と、真空管アンプ+モダンなプリアンプ/エフェクターを組み合わせた、現代的かつ王道な機材セッティングがあります。

ベース本体|ヴィンテージFenderを中心としたラインナップ

楢﨑誠のメインベースは、1963年製Fender Jazz Bassと1965年製Fender Precision Bassとされています。いずれも60年代のヴィンテージ個体で、ウォームかつ腰のある中低域が特徴。楽曲やチューニングに応じて使い分けることで、ポップスからソウル寄りまで幅広い音色をカバーしています。

その他にも、Fender Custom Shop製のジャズベース(半音下げチューニング)や、Road Worn ’50s Precision Bass(こちらも半音下げ)など、チューニング違いの楽器を曲ごとに持ち替えて使用。さらに、ハイエンド・ブランドであるAlleva-Coppoloのベースも導入しており、よりモダンでレンジの広いサウンドが求められる場面で活躍しています。

アンプ・キャビネット|Orange AD200B MkIIIを中心とした真空管サウンド

アンプヘッドは、Orangeのチューブベースアンプ「AD200B MkIII」をメインに使用。AD200B MkIIIは、ベース専用のオールチューブヘッドで、太くてウォームなローエンドと、ほどよくコンプレッション感のあるサウンドが特徴です。Official髭男dismのポップでありながら芯のあるベーストーンは、このアンプによるところが大きいと言えます。

キャビネットにはOrange OBC115(15インチスピーカー搭載モデル)を組み合わせ、厚みのある低音をステージ上に出力。さらにライブ現場では、サイドステージにAmpeg PN-115HLFキャビネットをモニターとして配置することもあり、プレイヤー本人が低音をしっかり聴きながら演奏できる環境を整えています。

エフェクター|歪み・コンプ・EQ・DIを組み合わせた現代的ボード

楢﨑のペダルボードは、モダンなベーシストらしくプリアンプ/コンプ/EQ/歪みをバランスよく組み合わせた構成になっています。公表されている主な機種と役割は次の通りです。

・Darkglass Electronics Alpha Omega(ディストーション/プリアンプ)
 ベース用ハイゲイン・ドライブの定番機種。低域を残したまま中高域に歪みを加え、ロック寄りの楽曲でベースを前に出したい時に使うタイプのペダルです。クリーンとブレンドできるため、輪郭を保ったまま迫力を足せます。

・Darkglass Electronics Super Symmetry(コンプレッサー)
 ベース専用コンプで、アタックを自然にまとめつつサステインを伸ばす用途に使われます。音量差を整え、指弾き&ピック弾きが混在するセットリストでも安定した音量と響きを確保するための「土台」となるペダルです。

・Free The Tone PA-1QB(プログラマブルEQ)
 10バンドのパラメトリックEQをプリセット管理できるイコライザー。会場や曲ごとにローの量やプレゼンスを微調整したり、ピック/指の持ち替えで変わるトーンを補正するために使用されます。

・API TranZformer LX(EQ・コンプ・DI一体型)
 スタジオ機器メーカーAPIが手がけるベース用のプリアンプ/DI。アナログEQとコンプを内蔵しており、ミキサー卓に送る前の段階でサウンドを作り込む用途に使われます。ライブでもレコーディングでも「APIらしいパンチのあるサウンド」を得られるのが特徴です。

・Pike Amplification Vulcan Bass Overdrive(オーバードライブ)
 中〜軽度の歪みを付加するベース用オーバードライブ。常時薄くかけて存在感を少し足したり、サビだけ音圧を上げるといった用途に向くペダルです。

・Free The Tone Black Vehicle(オーバードライブ)
 よりロック寄りな歪みを作るドライブペダル。エッジの立ったミドルを加えて、密度の高いバンドサウンドの中でもベースを埋もれさせないための音作りに役立ちます。

・Korg Pitchblack Advance(チューナー)
 視認性の高いベース用ペダルチューナー。ライブ中のチューニングチェック用としてボードの入り口に配置される定番機種です。

・Line 6 HX Stomp(マルチエフェクター)
 アンプシミュレーターや空間系、ダイナミクス系などをまとめて扱えるコンパクトマルチ。曲ごとに必要なエフェクトを呼び出したり、特定の楽曲だけシミュレーターを使うなど、柔軟なルーティングが可能です。

その他アクセサリ|弦・ピック・ケース周り

弦やピック、ケーブルといった情報は詳細には公表されていませんが、レコーディングや大型ツアーでも安定したサウンドをキープするため、高品質なシールドケーブルや堅牢なストラップ、ペダルボードケースを使用していることがうかがえます。

プレイスタイルとしては指弾きがメインで、曲によってピックアップのバランスや右手のポジション(ブリッジ寄り/ネック寄り)を変えることで音色をコントロール。場合によってはフラットワウンド弦的な落ち着いたトーンを指弾きで再現するなど、手元でのコントロールも含めて「機材+タッチ」で音作りをしているタイプだと言えます。

楢﨑誠の魅力まとめ|ベースをコピーするときのポイント

楢﨑誠のベースをコピーするときの一番のポイントは、「譜面通り弾く」だけでなく、グルーヴと歌心をどこまで再現できるかです。

・まずはルート中心でリズムの位置(前ノリ/後ノリ)を原曲に寄せる
・慣れてきたら、つなぎの16分やスライドなど“歌っている部分”を少しずつ足していく
・ドラムのキックとベースの関係をよく聴き、音の長さ・切り方を真似する
・歪みやコンプはかけすぎず、ローエンドがはっきり聴こえるトーンを意識する

このあたりを意識して練習すると、Official髭男dismのコピーにとどまらず、ポップス全般で役立つグルーヴ感やアレンジ感覚が身についていきます。ベース初心者〜中級者が「歌ものの中で上手に目立つ」ための良いお手本になるベーシストなので、ぜひじっくり研究してみてください。

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