OKAMOTO’Sのベーシストとして知られるハマ・オカモトは、ソウル/ファンク由来のグルーヴと歌心あふれるベースラインで支持される日本を代表するプレイヤーです。ヴィンテージFenderをこよなく愛しつつ、テレビ・ラジオ、プロデュースやサポートまで多方面で活躍する“現代型ベーシスト像”の象徴的存在ともいえます。
ベーシスト ハマ・オカモトのプロフィール|生い立ちと経歴
ハマ・オカモト(本名:濱田郁未)は1991年3月12日、東京都生まれ。幼少期から音楽教育に積極的な家庭環境で育ち、和光学園に通いながら邦楽・洋楽問わずさまざまな音楽に触れてきました。中学時代にジャムセッション部へ入り、同級生のオカモトコウキに誘われたことをきっかけにベースを始めます。ソウルやファンクなどブラック・ミュージックに夢中になった経験が、のちのグルーヴィなプレイの土台となりました。
2008年頃からはEdBUSのサポートやズットズレテルズなどインディーズシーンで活動し、2009年にロックバンドOKAMOTO’Sへ正式加入。同年には初ステージと1stアルバム『第一集』のリリースを果たします。2010年にはアメリカのSXSWや「Japan Nite US Tour」への出演を経て、アルバム『10’S』でメジャーデビュー。以降、精力的なリリースと全国ツアーを重ね、日本のロックシーンを代表するバンドの一員として存在感を高めていきます。
2013年には米Fender社とエンドースメント契約を結び、日本人ベーシストとしては異例のシグネイチャーモデルを複数発表。星野源をはじめ、多数アーティストのレコーディングやライブサポート、テレビ・ラジオ番組のMC、雑誌連載など活動は多岐にわたります。OKAMOTO’Sとしては武道館公演やベスト盤リリースも成功させ、今なお第一線で活躍し続けるベーシストです。
ハマ・オカモトのベースプレイ分析|プレイスタイルとベースラインの特徴
ハマ・オカモトのベースは、一聴してわかる「ノリ」と「歌心」が最大の魅力です。ソウル/ファンクのフィールを土台にしながら、ロックバンドのダイナミズムとポップスのキャッチーさを共存させることで、どんな曲でも“ハマ節”とも言えるグルーヴに仕上げてしまいます。
ソウル/ファンク由来のグルーヴとタイトなリズム
中高生時代からブラック・ミュージックに傾倒していたこともあり、ハマのベースには16分ノリのグルーヴ感が常に漂っています。常にドラムと密接にリンクしつつも、拍の“少し後ろ”に重心を置いたタメのあるフレーズが特徴的です。ミュートを効かせたゴーストノートや、オクターブを絡めたリズミカルなフィルインを多用しながらも、土台となる2拍4拍はしっかりとキープ。結果として、派手になり過ぎず、それでいて身体が自然に揺れてしまうリズムを生み出しています。
歌うようなベースラインと曲の“顔”になるフレーズ
もう一つの大きな特徴が、“歌うベース”とも言えるメロディアスなラインです。コードトーンをしっかり押さえつつ、スケールアウトし過ぎない範囲でテンションやクロマチックを織り交ぜ、ボーカルやギターに寄り添うラインを作り上げます。ときにはイントロや間奏でベースがリード楽器のように前に出ることも多く、フレーズそのものが曲のフックになっていることも少なくありません。
それでも決して“弾きすぎ”に感じさせないのは、フレーズの隙間の取り方と音価のコントロールが非常に巧みだから。音を出す場所と休む場所のメリハリをつけることで、シンプルな曲でも立体感あるベースアレンジに仕上げています。
ハマ・オカモトのベースが光る代表曲・名演紹介
OKAMOTO’Sの作品はもちろん、サポート参加作まで含めて“名ベーステイク”が多いハマ・オカモト。ここでは、ベースプレイが特に際立つ公式音源から、コピーや耳コピの題材にもおすすめの曲をピックアップして紹介します。
OKAMOTO’S「Song 4 You」
最新作でもベースの存在感が強い1曲。跳ねた16ビートのグルーヴに、ミュートを駆使した粒立ちの良いフレーズが乗ります。Aメロではリズムギターと絡み合うタイトな刻み、サビではオクターブを多用した開放感のあるラインへと展開し、曲のエネルギーを一気に押し上げます。中盤の4ビート寄りのパートではウォーキング風のラインも登場し、ジャンルをまたいだハマらしいアプローチが楽しめます。
OKAMOTO’S「ありがとう」
ミディアムテンポのロック・バラードで、ベースはあくまで歌を支えながらも要所で主張するお手本のようなプレイ。Aメロではルート中心のシンプルなラインで情感をキープし、サビでは8分刻みで曲の“背骨”を作り上げます。間奏ではスラップやテンションを含んだフレーズも顔を出し、感情のピークを後押し。音数とダイナミクスのバランス感覚を学べる1曲です。
OKAMOTO’S「笑って 笑って」
ポップで明るい楽曲ながら、ベースはかなりテクニカル。跳ねた8ビートを軸にコードトーンと経過音を織り交ぜたラインで、ピアノやギターと一体になって曲をドライブさせます。タッピングやハーモニクスを思わせるフレーズも要所に差し込まれており、「歌心のある派手さ」の好例。リズムのキープとアグレッシブなフレーズの両立という、ハマの真骨頂が味わえるナンバーです。
OKAMOTO’S「Where Do We Go?」
マーチ風のリズムから始まり、全編を通してベースが曲を牽引するハイテンションな1曲。高速フィンガリングやスラップ、トリル、グリッサンドなど、テクニック面でも聴きどころが豊富です。特にサビ前のブレイクでのベースソロ的フレーズは、ライブ映えする印象的な場面。体力と精度が必要ですが、コピーできれば大きな自信につながる“チャレンジ課題曲”と言えます。
星野源「Crazy Crazy」
サポート参加曲として外せない名演。ダンスビートの上で、ファンキーな8ビートとスラップが絶妙に絡み合うベースです。イントロからキャッチーなリフで耳を惹きつけ、ハーモニクスや装飾フレーズで楽曲のポップさを強調。ドラムとのシンクロ感が非常に高く、アンサンブルの中でのベースの役割を学ぶのに最適なテイクです。
ハマ・オカモトの使用ベース・機材一覧|音作りとセッティング
ハマ・オカモトのサウンドは、ヴィンテージFenderを中心としたベース本体と、こだわりの真空管アンプ、必要最小限ながら要所を押さえたエフェクター群によって形作られています。ここでは代表的な使用機材と、それぞれがどんな役割を担っているのかを整理してみましょう。
ベース本体(Fenderヴィンテージ&シグネイチャーモデル)
メインの一本は、Fender製1968年製プレシジョンベース。太く腰のあるサウンドが特徴で、ルート中心のロックナンバーやソウル寄りの曲で土台を作る役割を担います。細めのネックとパドルペグ仕様で弾きやすさも抜群です。もう一本の主力、1965年製ジャズベースはレンジが広く、動きの多いフレーズやスラップ、ポップな楽曲で活躍。楽曲ごとに「プレベ曲」「ジャズベ曲」と使い分けることで、アンサンブルに最適なキャラクターを選んでいます。
自身のシグネイチャーモデルであるHama Okamoto Precision Bass #4や、KATANA BASSシグネイチャーも重要な武器。特にKATANAは独特のルックスとエッジの効いたサウンドで、派手なステージングやハイテンションな曲で存在感を発揮します。
アンプ(AKIMA&NEOS Wild Bass 100DX+ビンテージキャビ)
アンプの中心は、AKIMA&NEOS製Wild Bass 100DX。真空管プリアンプを搭載したヘッドで、60年代~70年代のクラシックなベーストーンを現代的に再現できるモデルです。12AX7/12AU7などの真空管によるウォームで立体感のあるサウンドが、ハマのプレベとの相性抜群。これをヴィンテージのTEISCO BN-601Sキャビと組み合わせることで、中低域に厚みがありながらも抜けの良い音像を作り上げています。
結果として、派手なエフェクトに頼らなくても「弾き方とタッチの違い」で表情が変わる、プレイヤーのニュアンスを忠実に反映するセッティングになっています。
エフェクター(サウンドを彩る要所のスパイス)
エフェクトボードの核となるのが、AKIMA&NEOS King Rocker Bass 2というプリアンプ/ドライバー系ペダル。これはアンプの前段で音に太さとハリを加え、わずかな歪みやコンプレッション感を与えるためのペダルです。曲によっては、King Rockerを踏むだけで一気にロック寄りの押し出しの強いサウンドに変化させることができます。
MXR Bass Envelope Filterは、ピッキングの強さに反応してワウのようなフィルター効果を生み出すエンベロープフィルター。ファンキーなカッティングやスラップパートで、フレーズにうねりと表情を足すために使われます。MXR Micro Amp Plusはクリーンブースターで、ソロパートやダイナミクスを上げたい場面で音量と存在感を少し持ち上げる役割。歪ませるのではなく“前に出す”ための補助的なエフェクターです。
BOSS TU-2は定番のチューナー兼ミュート用ペダルで、演奏中のチューニング安定とオン/オフの切り替えに使用。Providence PEC-04はプログラマブル・スイッチャーで、複数のエフェクターのON/OFFを一括で切り替えるための機材です。ハマのボードでは、音色変化が必要な曲で素早く確実にセッティングを呼び出すために使われています。
ストラップ・ピック・アクセサリ
本人監修のFender Vintage Modified Monogrammed Strapは、長時間のステージでも負担が少ない幅広仕様で、シグネイチャー・ベースのボディカラーに合わせたデザインが特徴。ピックはシグネイチャー仕様の中厚~厚めのモデルを使用し、アタック感とピッチの安定を両立させています。厚めのピックを使いつつ、力みすぎないタッチで弾くことで、プレベらしい太さを保ちながらも輪郭のはっきりした音を実現しています。
ハマ・オカモトの魅力まとめ|ベースをコピーするときのポイント
ハマ・オカモトのベースをコピーする際は、「音数」よりも「ノリ」と「音価(伸ばし方・切り方)」に注目するのがおすすめです。まずはルートや基本フレーズを正確に押さえ、ドラムと一体になるように16分のノリを体で覚えましょう。そのうえで、オクターブや経過音、ゴーストノートなどを少しずつ足していくと、ハマらしいグルーヴに近づきます。また、指弾き・ピック弾き・スラップを曲ごとに切り替えるセンスも重要なポイント。譜面だけでなく、音源を何度も聴いてニュアンスまでコピーすることで、ハマ・オカモトの“歌うベース”の魅力を自分のものにしていけるはずです。
