L’Arc〜en〜Cielのリーダーであり、日本ロックシーンを代表するメロディアス系ベーシストがtetsuya(テツヤ)。
「歌うベースライン」と呼ばれるフレーズセンスと、120本を超えると言われるベースコレクション、そして作曲家として数々の名曲を生み出してきたソングライティング能力まで備えたオールラウンダーです。
このページでは、生い立ちからキャリア、プレイスタイル、代表曲、使用機材、コピーのコツまで、ベーシスト目線でtetsuyaの魅力をまとめます!
ベーシストtetsuyaのプロフィール|生い立ちと経歴
tetsuya(本名:小川哲也)は、1969年10月3日生まれ、滋賀県米原市出身。子どもの頃はF1レーサーに憧れていて、音楽とはあまり縁がありませんでしたが、小学校高学年〜中学生の頃にラジオの深夜放送などで洋楽ロックに触れ、少しずつ音楽にのめり込んでいきます。
転機になったのは、のちにL’Arc〜en〜Cielで共に活動する幼なじみのギタリスト・kenの存在です。ギターを弾き始めていたkenから「ギターは弦6本で難しいけど、ベースは4本だからやってみれば?」と勧められ、「4本なら簡単そう」という軽い気持ちでベースを購入したのが、ベーシスト人生のスタートでした。届いたベースがギターより大きくて驚きつつも、中学時代からバンドを組んでステージに立つようになります。
高校ではPRISONER〜Byston-Wellというバンドに在籍し、コピーだけでなく自ら積極的に曲を持ち込み、リーダー的な立場で活動。バンドはコンテストで優勝しテレビ出演も果たすなど、本格的にプロを意識するきっかけになります。その後バンドの解散などを経て、tetsuyaは別バンドで活動していたボーカルのhyde(当時HIDE名義)とドラマーのperoに出会い、「このメンバーでバンドを組めば絶対すごいことになる」と直感。熱心に口説き続け、1991年2月にhyde、hiro、pero、そして当時“tetsu”名義だったtetsuyaの4人でL’Arc〜en〜Cielを結成します。
結成当初から大阪インディーズシーンで話題を集め、1994年にメジャーデビュー。その後「Blurry Eyes」「風にきえないで」「DIVE TO BLUE」「Driver’s High」「STAY AWAY」「READY STEADY GO」「Link」など、バンドの代表曲の多くをtetsuyaが作曲し、コンポーザーとしてもバンドの核となっていきます。バンド内に正式な“リーダー”はいませんでしたが、hydeの推薦によりtetsuyaがリーダーに就任し、音楽面だけでなくマネジメント的な面でもL’Arc〜en〜Cielを支えてきました。
2001年には自身のレーベル「SPROUSE」を立ち上げ、「TETSU69」→「TETSUYA」名義でソロ活動をスタート。ソロではボーカルも務め、ポップでキャッチーなロックチューンを中心に、ギター・ベース・キーボード・プログラミングまで自身でこなすマルチプレイヤーぶりを発揮しています。さらに2000年代半ばにはMorrie率いるCreature Creatureにもベーシストとして参加し、別バンドでもその実力を証明しました。
2009年にはL’Arc〜en〜Cielでの名義を“tetsu”から“tetsuya”に変更し、バンド活動とソロ活動で表記を使い分けるスタイルに。また私生活では2007年に女優・酒井彩名さんと結婚し、2児の父でもあります。
近年はプレイヤーとしてだけでなく、楽器開発の分野にも本格参入。30年以上タッグを組んできたESPやZON、Laklandといったブランドに加え、2023年には自身のブランド「STELLA GEAR」を立ち上げ、歴代シグネイチャーベースの復刻や新モデル、オリジナルエフェクター「Bass Driver’s High」などをプロデュース。2020年代に入ってもなお、第一線で進化を続けるベーシストです。
tetsuyaのベースプレイ分析|プレイスタイルとベースラインの特徴
tetsuyaのベースプレイを一言で表すなら、「歌心のあるメロディアスなベース」。
ルートを淡々と支えるだけでなく、ギターやボーカルの隙間を縫うように動き回りながら、曲全体のメロディを補強するようなラインが特徴です。
メロディアスで“歌う”ベースライン
「HONEY」「HEAVEN’S DRIVE」「Driver’s High」などを聴くとよく分かりますが、Aメロや間奏ではギター並みに動くフレーズを弾きつつ、サビでは一転してルート中心でどっしり支える、といったメリハリのある構成が多く見られます。これにより、曲全体に起伏とドラマが生まれているのがポイントです。
ピック弾きをベースに、曲によって指弾き・スラップも使い分け
基本はピック弾きが中心で、タイトな16分や高速フレーズを正確に刻むスタイル。アタック感のある音色で、ミドル〜ハイの抜けが良く、ロックバンドの中でもベースがしっかり前に出てきます。一方で「winter fall」「叙情詩」など、柔らかいニュアンスが欲しい楽曲では指弾きを選択。さらに「STAY AWAY」ではベースソロで会場を沸かせるプレイも見せます。
音数だけではなく“間”の使い方が巧み
バラード「Pieces」を聴くとよく分かりますが、tetsuyaは「弾かない音」「休符」の扱いが非常に上手いベーシストです。音数を詰め込みすぎず、あえて余白を残しながらも歌うようなフレーズで流れを作ることで、曲の世界観を崩さずにベースが存在感を放ちます。ベースだけで聴いても曲が思い浮かぶ、というファンの声も多い理由は、この“歌うベースライン”にあります。
音作りとエフェクトのセンス
サウンド面では、クリアで抜けるトーンが基準ですが、曲によってはディストーションやファズを使った歪み系サウンドも積極的に導入。「STAY AWAY」「Butterfly’s Sleep」などでは、歪んだベースが楽曲のインパクトを決定づけています。さらにコーラス系やコンプレッサーも活用し、派手なペイントのベースから想像されるようなキラキラしたサウンドから、ヴィンテージライクな太い音まで自在に表現できるのが強みです。
作曲家ならではの“曲ありき”のプレイ
自分が作曲した曲だけでなく、他メンバー作曲曲でも「曲のイメージに合う楽器・ライン」を徹底して考えるスタイルで、同じようなフレーズを量産しないのもtetsuyaの特徴。曲を主役にしながら、その中で最大限ベースを活躍させる、というバランス感覚こそ、コピーするときに一番学びたいポイントです。
tetsuyaのベースが光る代表曲・名演紹介
ここでは、tetsuyaのベースが特に際立っている代表曲と、コピー・耳コピ時に注目したいポイントを紹介します!
HONEY
ラルクを代表するポップな高速ロック。スライドを多用した躍動感あるラインと、やや歪んだ抜けの良いトーンが印象的です。サビ前〜サビ頭にかけてのフレーズは「ベースだけ聴いてもHONEYと分かる」と言われるほど曲の肝。

HEAVEN’S DRIVE
イントロからアウトロまでベースが暴れっぱなしの超・動き回るベース曲。コードトーンを中心にしつつ、オクターブや経過音で一気に疾走感を演出しています。ライブではさらにテンポが上がることも多く、体力と持久力も試される1曲。

Driver’s High
アニメ『GTO』のOPとしても有名なナンバー。Aメロでは跳ねるようなグルーヴィーなラインで曲を引っ張り、サビではルート中心でしっかり土台を支える構成になっています。「動くところ」と「支えるところ」のバランスを学ぶのに最適な曲。
Pieces
美しいバラードの中で、tetsuyaの“歌うベース”が堪能できる1曲。音数は比較的少ないものの、入り方・抜き方・ビブラート・サスティンの長さなど、細かいニュアンスが難しい曲です。ベースが歌メロを邪魔せず、そっと寄り添うラインの作り方を学べます。
STAY AWAY
間奏のソロで有名な、ベーシスト的には“ラスボス級”の難曲。ハンマリング+プリングを高速で組み合わせるテクニカルなフレーズですが、ただ速いだけでなくリズムがものすごくタイトです。イントロからベースが主役級で鳴っているので、音作り含めて研究し甲斐があります。

tetsuyaの使用ベース・機材一覧|音作りとセッティング
ベース本体
tetsuyaが最初に手にしたベースは、Aria Pro Ⅱ ZZB。中学時代に母親に買ってもらった入門機で、その後のアマチュア期にはIbanez SR-1000Sをメインに使用していました。メジャーデビュー前後には、アルバム『DUNE』のレコーディングでWarwick製ベースを借用し、その後ZON Legacy Eliteシリーズを購入。以降はZONベースを長年愛用し、レコーディングの柱となっています。
1992年には大阪のESPショップ「シェルドンギターズ」と契約を結び、以降30年以上にわたってESPとタッグを継続。さらにLAKLAND、ZONともエンドース契約を結び、
- ESP Bardic / ESP BANDIT / ESP Bass IV / ESP BANDIT Six
- ZON Legacy Elite 519 tetsuya Model
など多数のシグネイチャーモデルがブランドから発売されています。
1998年頃からはヴィンテージベースの収集も本格化し、『HEART』期以降のレコーディングでは、1960〜70年代製のFender Jazz Bass、Gibson EB-3、Rickenbackerなどを曲ごとに使い分けるスタイルを確立しました。
アンプ/キャビネット
ライブ用のアンプシステムは、ヴィンテージAmpeg SVTヘッド3台を中核に据えた巨大ラックが特徴的です。これらをFree The Tone製のインプット/アウトプットセレクターやミキサーでまとめ上げ、Tech 21「SansAmp PSA-1」(4台)、TC Electronic「Triple C」コンプレッサー(2台)などと組み合わせて、太さと抜けを兼ね備えたサウンドを作っています。
近年はモダンなハイゲインサウンドを得るために、Darkglass Electronicsのベース用アンプヘッド「Alpha Omega 900」も導入。クラシックなSVTサウンドと現代的なダークグラス系サウンドを使い分けることで、楽曲ごとに最適なトーンを構築しています。
キャビネットは、Basson製810キャビネット(青・白・赤のトリコロール塗装)を3台と、Basson製410キャビネット1台をステージに並べる圧巻の布陣。テレビ出演などでは、Motley CrueのNikki Sixxが実際に使用していたBassonキャビネットを使用することもあります。ギターパートを兼任する楽曲では、Groove TubeやMatchless製のギターアンプを使うこともあり、アンプ周りのこだわりも非常に強いプレイヤーです。
エフェクター
tetsuyaは、ヴィンテージから最新機種まで多彩なペダルを所有・使用しており、歪み系・コンプ・空間系を中心にかなり充実したボードを組んでいます。公になっている範囲で整理すると、主な使用エフェクターは次のとおりです。
Electro-Harmonix Big Muff π
Electro-Harmonix Graphic Fuzz
いずれもヴィンテージ個体を含めコレクションしているファズ系ペダルで、強い歪みやサステインを得る用途で使用。
Empress Effects Compressor MKII
ダイナミクスを整えるためのコンプレッサーとして採用。
TC Electronic Helix Phaser
位相の揺れでサウンドに変化をつけるフェイザー。
Free The Tone Flight Time
デジタルディレイ。タイムコントロールなど細かな設定が可能な高機能機種。
KarDiaN C10H12N20
PSK Core Drive CDV-5
いずれもドライブ/ブースト用途のペダルとしてボードに組み込まれている。
weed FREEZER
クリーンブーストやトーン補正系に分類されるペダルで、サウンドメイクの微調整に用いられている。
Roger Mayer “Marble Fuzz”
楽曲「NEO UNIVERSE」で、ESPシグネイチャー6弦ベース「Bandit Six」と組み合わせて使用されたことが明言されているファズペダル。
STELLA GEAR「Bass Driver’s High」
2024年に自身のブランド「STELLA GEAR」から発売されたベース用ドライブペダル。tetsuya本人監修によるオリジナルモデルで、今後のライブ/レコーディングでも使用が想定される代表的な1台となっている。
周辺アクセサリ・小物類
ベース本体やアンプだけでなく、弦やケーブルなどの小物類にも強いこだわりがあります。
弦はアメリカのDR Strings社製を愛用しており、2015年には同社とエンドース契約を締結。ゲージやテンションにこだわったセットを長年使い続けています。ストラップはLive Line製を使用し、派手なカラーやデザインもtetsuyaらしいポイントです。
シールド・スピーカーケーブル・パッチケーブル類は、AET Individual Design、Providence、Pete Cornishなど、プロユースで評価の高いブランドを採用。信号のロスを極力減らすため、ケーブル選びにも妥協がありません。
機材ケースの色にもこだわりがあり、これまで赤→銀→ピンクと変遷。特に赤系のカラーリングは、tetsuyaが好むキャラクター「シャア・アズナブル」を意識したものとして知られています。
また2023年10月に始動した自身のブランド「STELLA GEAR」では、ESP/Edwardsからの歴代シグネイチャーモデルの受注再開だけでなく、新たなアクセサリや機材も展開。今後は、ベース本体以外の小物類でも“tetsuyaモデル”が増えていくことが期待されます。
tetsuyaの魅力まとめ|ベースをコピーするときのポイント
最後に、tetsuyaのフレーズをコピー・研究するときに意識したいポイントを整理します。
「歌うベースライン」を意識する
ルートをなぞるだけでなく、歌メロの裏で“もう1本のメロディ”を奏でているイメージでラインを組み立てています。コピーするときも、ただタブを追うのではなく、「この音はボーカルやギターに対してどんな役割か?」を考えながら弾くと理解が深まります。
動くところと支えるところのメリハリ
Aメロや間奏では積極的に動き、サビではシンプルに支える——この切り替えがtetsuyaらしさの大きなポイント。「Driver’s High」「HONEY」などは、この対比が分かりやすく練習に最適です。
休符とニュアンスを大事にする
「Pieces」のようなバラード曲では、音数よりも“間”の取り方が重要。休符の長さ、音を切るタイミング、ビブラートの有無など、細かいニュアンスを耳コピしてみてください。難しいですが、ここを真似すると一気にそれっぽくなります。
ピックの角度と右手の位置にも注目
ピック弾きが中心とはいえ、弦に対する当て方やピッキングの位置(ブリッジ寄り/ネック寄り)で音色をかなり変えています。ライブ映像をよく観て、どのフレーズでどこを弾いているかチェックしてみましょう。
いきなり“最難関曲”から入らない
「STAY AWAY」のソロなどは、テクニック的にはかなり上級者向けです。最初は「HONEY」「Driver’s High」「Pieces」あたりのベースラインを通して、“tetsuya的な考え方”を身体に染み込ませてから挑戦すると、挫折しにくくなります。
tetsuyaのプレイは、派手でテクニカルな一面だけでなく、「曲のためにベースが何をするべきか」という視点が常に通っています。コピーすることで、フレーズ力はもちろん、アレンジや作曲のセンスまで一緒に鍛えられるはずです。当サイトのタブ譜や解説記事も組み合わせて、ぜひじっくり研究してみてください。
